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2025.12.24
不動産相続税の計算方法!「法定相続分」で按分する税率の仕組みとは
ご自宅やご実家など、不動産をお持ちの方が気になることの一つに、将来の相続税が挙げられます。
「この家の相続税は、一体いくらになるのだろう?」と不安に感じる方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、実は「この不動産だけの相続税」という形で税額を計算することはできないのです。
相続税は、亡くなった方(被相続人)が遺した預貯金や株式、そして不動産といったすべての財産を合計した上で、全体の税額を算出する仕組みになっています。
そのため、相続税の仕組みそのものを理解することが大切です。
今回は、不動産を含む相続税の税率がどのように決まるのか、そして具体的な計算の流れはどのようになっているのか、基本的な考え方をご紹介します。
不動産相続税の税率はどのように決まる?
相続税の税率について考えるとき、多くの方が誤解しがちなポイントがあります。
それは、遺産の総額に直接税率を掛けてしまうことです。
まずは、税率がどの金額に適用されるのか、その仕組みから見ていきましょう。
遺産総額ではなく法定相続分に応じた取得金額に適用される
相続税の税率を調べる際、「相続税の速算表」というものに行き着くことが多いでしょう。
しかし、この表を見て「遺産の総額が1億円だから、税率は30%」と考えるのは、実は間違いなのです。
相続税の計算は非常に特徴的で、税率を適用するのは遺産の総額そのものではありません。
計算プロセスの途中で、「もし法定相続人が法律で定められた割合(法定相続分)で遺産を分けたら」と仮定して、一人ひとりの取得金額を算出します。
税率が適用されるのは、この仮の「法定相続分に応じた取得金額」に対してなのです。
このステップは、あくまで相続税の総額を計算するための一時的なものです。
実際の遺産の分け方とは関係なく、計算上のルールとして定められています。
この点を押さえておくだけでも、相続税への理解がぐっと深まりますよ。
10%から55%までの8段階の累進課税
相続税の税率は、取得する金額が大きくなるほど税率も高くなる「累進課税」という仕組みが採用されています。
税率は10%から始まり、最高で55%までの8段階に分かれています。
具体的には、先ほどご説明した「法定相続分に応じた取得金額」に応じて、以下のような税率と控除額が定められています。
・1,000万円以下
税率10%
・3,000万円以下
税率15%(控除額50万円)
・5,000万円以下
税率20%(控除額200万円)
・1億円以下
税率30%(控除額700万円)
・2億円以下
税率40%(控除額1,700万円)
・3億円以下
税率45%(控除額2,700万円)
・6億円以下
税率50%(控除額4,200万円)
・6億円超
税率55%(控除額7,200万円)
この速算表を使って、法定相続人一人ひとりの仮の税額を計算し、それを合計することで、相続税の全体の金額を算出していくことになります。
相続税額はどのように計算する?
それでは、相続税額が最終的にどのように決まるのか、全体の計算プロセスを3つのステップに分けて見ていきましょう。
この流れを把握することで、相続税計算の全体像をつかむことができます。
遺産総額から基礎控除を引いて課税対象額を算出する
相続税計算の最初のステップは、課税対象となる遺産の金額を確定させることです。
まず、不動産、預貯金、有価証券といったプラスの財産をすべて合計します。
そこから、借入金や未払金などのマイナスの財産と、葬儀費用を差し引きます。
これが「正味の遺産総額」です。
次に、この正味の遺産総額から「基礎控除」を差し引きます。
基礎控除は、相続税がかからない非課税枠のことで、以下の式で計算されます。
・基礎控除額=3,000万円+(600万円×法定相続人の数)
例えば、法定相続人が配偶者と子ども2人の計3人なら、基礎控除額は4,800万円です。
正味の遺産総額がこの基礎控除額以下であれば、相続税はかからず、申告も原則として不要です。
基礎控除額を超えた部分が、相続税の課税対象となる「課税遺産総額」となります。
課税対象額を法定相続分で分け、税率を適用し総額を求める
次に、ステップ1で算出した「課税遺産総額」を使って、相続人全員で納めるべき「相続税の総額」を計算します。
ここが少し複雑な部分ですが、まず課税遺産総額を、法定相続人が法律で定められた割合(法定相続分)で相続したと「仮定」して分割します。
例えば、相続人が配偶者と子ども2人なら、配偶者に1/2、子どもたちにそれぞれ1/4ずつ分割します。
そして、この分割された一人ひとりの金額に対して、先ほどご紹介した相続税の速算表の税率を適用し、それぞれの「仮の相続税額」を算出します。
最後に、法定相続人全員分の仮の相続税額を合計したものが「相続税の総額」となります。
相続税総額を実際の相続割合で分け、各種控除を適用する
最後のステップでは、ステップ2で算出した「相続税の総額」を、実際に財産を相続する割合に応じて、各相続人に割り振ります。
遺言や遺産分割協議によって、ある一人が多くの財産を相続することになった場合、その人が負担する相続税額も多くなる、という考え方です。
こうして算出された各人の相続税額から、さらに個々の状況に応じた税額控除を適用します。
代表的なものに「配偶者の税額軽減」があり、配偶者が相続した財産が1億6,000万円または法定相続分相当額までであれば、相続税はかかりません。
他にも「未成年者控除」や「障害者控除」などがあり、これらを適用した後の金額が、最終的に各人が納めるべき納税額となります。
まとめ
不動産を含む相続税の計算は、不動産単体の価値で決まるわけではなく、すべての遺産を合算して評価することから始まります。
税率も遺産の総額に直接適用されるわけではなく、計算の途中で算出される「法定相続分に応じた取得金額」という仮の金額に適用される、という点が大きなポイントです。
計算プロセスは、まず課税対象額を「基礎控除」を差し引いて算出し、次に法定相続分という仮の割合で「相続税の総額」を求め、最後に実際の相続割合で各人の負担額を決定するという、段階的な手順を踏みます。
各種控除の適用によって最終的な納税額が変わるため、どのような制度が利用できるかを知っておくことも重要です。
相続税の計算は専門的な知識を要するため、もしご自身での判断が難しいと感じた場合は、税理士などの専門家に相談してみるのも一つの良い方法でしょう。


