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2025.12.15
遺産相続税のお金がかからない場合は?基礎控除と配偶者控除を解説
ご家族が亡くなられた際、「相続税はかかるのだろうか」「現金や預金を相続する場合、いくらまでなら税金がかからないのだろう」と不安に思う方は少なくないでしょう。
しかし、実は相続税は誰もが支払うものではありません。
実際、国税庁の統計によると、相続税が課税されたケースは全体の1割にも満たないのが現状です。
多くの場合、税金の心配は不要なのです。
そこで今回は、どのような場合に相続税がかかるのか、そして税金の負担を軽くするためにどのような制度が利用できるのかについて、基本的なポイントをご紹介します。
遺産相続税はいくらから?
遺産総額が基礎控除額以下なら非課税
相続税について考えるとき、まず知っておきたいのが「基礎控除」という制度です。
これは「この金額までであれば相続税はかかりません」という非課税の枠のことです。
亡くなった方(被相続人)が遺した現金、預貯金、不動産、有価証券といった財産の総額が、この基礎控除額を下回っていれば、相続税は一切かかりません。
もちろん、税務署への申告も不要です。
つまり、相続税がかかるかどうかは、遺産の総額が基礎控除額を超えるかどうかが最初の大きな分かれ道となります。
多くのご家庭では遺産総額がこの範囲内に収まるため、相続税とは無縁でいられるのです。
基礎控除額は「3,000万円+600万円×法定相続人の数」で計算
では、その基礎控除額は具体的にいくらなのでしょうか。
これは、以下の計算式で算出できます。
・基礎控除額=3,000万円+(600万円×法定相続人の数)
「法定相続人」とは、法律で定められた遺産を相続する権利のある人のことで、一般的には配偶者や子どもが該当します。
この法定相続人の数によって、非課税枠の金額が変わってきます。
例えば、法定相続人が配偶者1人の場合は「3,000万円+(600万円×1人)=3,600万円」となります。
配偶者と子ども1人の計2人であれば「3,000万円+(600万円×2人)=4,200万円」が基礎控除額です。
このように、相続人が多いほど非課税枠は大きくなります。
まずはご自身のケースで法定相続人が何人になるかを確認し、基礎控除額を計算してみることが大切です。
基礎控除を超えても相続税が非課税になる条件は?
遺産の総額が基礎控除額を上回ってしまった場合でも、すぐに相続税の支払いが確定するわけではありません。
相続税の負担を軽減するための、さまざまな特例や控除制度が用意されています。
これらを活用することで、納税額がゼロになるケースも少なくありません。
生命保険金や死亡退職金には非課税枠がある
被相続人の死亡によって受け取る生命保険金や死亡退職金は、厳密には相続財産ではありませんが、税法上は「みなし相続財産」として課税の対象に含まれます。
しかし、これらは遺された家族の生活を支える重要な資金であるため、特別な非課税枠が設けられています。
・非課税限度額=500万円×法定相続人の数
この計算式は、生命保険金と死亡退職金のそれぞれに適用されます。
例えば、法定相続人が3人いる場合、生命保険金で最大1,500万円、死亡退職金で最大1,500万円までが非課税となります。
この非課税枠は法定相続人が受け取った場合に適用されるため、誰が受け取るかという点も重要になります。
墓地や仏壇などそもそも課税されない財産がある
遺産の中には、その性質上、相続税の対象にならない「非課税財産」が存在します。
代表的なものが、お墓や仏壇、仏具など、ご先祖様を祀るために日常的に使われるものです。
これらは「祭祀財産」と呼ばれ、国民の感情や社会的な慣習に配慮して課税対象から外されています。
ただし、注意点もあります。
例えば、骨董品としての価値が高い仏像や、投資目的で購入した純金の仏具などは、祭祀財産とは認められず課税対象となる可能性があります。
あくまで日常的な礼拝のためのものが非課税の対象です。
配偶者や未成年者などは控除制度が使える
相続人の状況に応じて、税額そのものを減額できる控除制度も充実しています。
特に影響が大きいのが「配偶者の税額軽減」です。
これは、被相続人の配偶者が遺産を相続する場合に適用され、「1億6,000万円」または「配偶者の法定相続分」のいずれか多い方の金額まで、相続税がかからなくなるという制度です。
また、相続人が18歳未満の「未成年者」である場合には「未成年者控除」が、障害のある方には「障害者控除」が適用されます。
これらの制度は、相続後の生活への負担を軽減する目的で設けられており、それぞれの状況に応じた計算式で控除額が算出されます。
これらの制度をうまく活用することで、納税の負担を大きく減らすことが可能です。
まとめ
相続税は、多くの方にとって身近な税金ではないかもしれませんが、基本的な仕組みを知っておくことで不要な不安を解消できます。
まず、遺産の総額が「3,000万円+600万円×法定相続人の数」で計算される基礎控除額以下であれば、相続税の心配はありません。
もし基礎控除額を超えてしまった場合でも、すぐに諦める必要はありません。
・生命保険金や死亡退職金の非課税枠
・お墓や仏壇などの非課税財産
・配偶者の税額軽減や未成年者控除などの各種控除制度
これらの制度を活用することで、税金の負担を大きく軽減できる可能性があります。
相続の手続きは複雑に感じるかもしれませんが、一つひとつの制度を正しく理解し、ご自身の状況にあてはめてみることが大切です。


