お役立ち情報
2025.12.12
相続税はいくらまで無税?配偶者控除と申告義務を解説
身内が亡くなるという悲しい出来事の後には、遺産相続という現実的な手続きが待っています。
その中で多くの方が気になるのが「相続税」ではないでしょうか。
「あまり大きな資産はないけど関係あるのだろうか」「一体いくらから税金がかかるのだろう」など、さまざまな疑問や不安がよぎるかもしれません。
しかし、実際には多くのケースで相続税はかからないのが実情です。
相続税には「ここまでなら税金はかかりません」という非課税の枠が設けられているのです。
今回は、相続税がかかるかどうかの基準となる、この基本的な仕組みについてご紹介します。
相続税はいくらまで無税?
相続税について考えるとき、まず知っておきたいのが「基礎控除」という考え方です。
これは、誰にでも適用される相続税の非課税枠のことで、遺産の総額がこの基礎控除額以下であれば、相続税は一切かからず、税務署への申告も不要になります。
3,000万円+600万円×法定相続人の数で計算
基礎控除額は、シンプルな計算式で算出できます。
その式とは「3,000万円+600万円×法定相続人の数」です。
この計算式からもわかるように、遺産を相続する権利を持つ「法定相続人」の数が多ければ多いほど、非課税枠は大きくなります。
まずは、この計算式を相続税の基本ルールとして覚えておきましょう。
遺産の総額を把握し、この基礎控除額と比べることで、ご自身の家庭で相続税がかかる可能性があるのか、大まかな見当をつけることができます。
法定相続人は配偶者と順位の高い親族
基礎控除の計算に欠かせない「法定相続人」とは、民法で定められた遺産を相続する権利を持つ人のことです。
亡くなった方(被相続人)の配偶者は、常に法定相続人となります。
配偶者以外の親族には相続できる順位が決められており、上位の順位の人がいる場合、下位の順位の人は法定相続人にはなれません。
・第1順位
子(子が既に亡くなっている場合は孫)
・第2順位
父母(父母が既に亡くなっている場合は祖父母)
・第3順位
兄弟姉妹(兄弟姉妹が既に亡くなっている場合は甥・姪)
例えば、亡くなった方に配偶者と子がいれば、法定相続人は配偶者と子になります。
父母や兄弟姉妹は相続人にはなりません。
子がいない場合は、配偶者と父母が法定相続人となります。
ちなみに、誰かが相続を放棄したとしても、基礎控除額を計算する際の法定相続人の数には、放棄しなかったものとしてカウントされるというルールも覚えておくとよいでしょう。
配偶者と子2人なら4,800万円まで
それでは、具体的な家族構成で基礎控除額を計算してみましょう。
例えば、亡くなった方の家族が配偶者と子ども2人だった場合、法定相続人は配偶者、子、子の合計3人です。
この場合の基礎控除額は、「3,000万円+(600万円×3人)=4,800万円」となります。
つまり、遺産の総額が4,800万円以下であれば、相続税はかからないということになります。
もし法定相続人が配偶者だけの場合は1人なので「3,000万円+(600万円×1人)=3,600万円」までが非課税です。
このように、ご自身の家族構成を当てはめて計算することで、相続税がかかるかどうかのボーダーラインを知ることができます。
遺産が非課税枠を超えたらどうなる?
遺産の総額が基礎控除額を上回った場合、相続税について真剣に考え始める必要があります。
しかし、基礎控除を超えたからといって、すぐに多額の税金が発生するわけではありません。
さまざまな制度を活用することで、納税額を抑えたり、ゼロにしたりすることも可能です。
基礎控除を超えたら原則申告が必要
遺産の総額が基礎控除額を上回る場合、原則として相続税の申告と納税が必要になります。
申告と納税の期限は、どちらも「亡くなったことを知った日の翌日から10ヶ月以内」と定められています。
この期間は長いようで短く、遺産の全体像を把握し、財産を評価し、相続人同士で遺産の分け方を話し合う(遺産分割協議)など、やるべきことはたくさんあります。
そのため、相続税がかかりそうだと分かった時点で、早めに準備を始めることが大切です。
配偶者控除などで無税になる場合がある
基礎控除額を超えてしまっても、諦めるのはまだ早いです。
相続税には、納税者の負担を軽減するための特例や控除がいくつも用意されています。
その中でも特に影響が大きいのが、次の2つです。
・配偶者の税額軽減(配偶者控除)
配偶者が相続した財産については、「1億6,000万円」または「配偶者の法定相続分」のどちらか多い金額までは相続税がかからないという非常に強力な制度です。
これにより、多くの場合、配偶者が支払う相続税はゼロになります。
・小規模宅地等の特例
亡くなった方が住んでいた自宅の土地などを相続した場合、一定の要件を満たせば、その土地の評価額を最大で80%も減額できる制度です。
都市部に自宅がある場合、土地の評価額だけで基礎控除を超えてしまうことも少なくありませんが、この特例を使えれば、遺産総額が基礎控除を下回り、結果的に相続税がゼロになるケースもあります。
特例利用で無税になっても申告は必要
ここで非常に重要な注意点があります。
それは、基礎控除の範囲内で相続税がゼロになるケースと、上記のような特例を使ってゼロになるケースとでは、手続きが全く異なるという点です。
遺産総額が基礎控除額以下で税金がかからない場合は、申告そのものが不要です。
一方で、「配偶者の税額軽減」や「小規模宅地等の特例」といった制度は、自ら「この特例を使います」と税務署に申告して初めて適用が認められます。
つまり、これらの特例を使った結果、計算上の納税額が0円になったとしても、相続税の申告手続きは必ず行わなければなりません。
もし申告を忘れてしまうと、特例が適用されず、後から多額の税金とペナルティが課される可能性もあるため、十分に注意が必要です。
まとめ
相続税がかかるかどうかは、まず「3,000万円+600万円×法定相続人の数」で計算される基礎控除額が基準となります。
遺産の総額がこの金額以下であれば、相続税の心配はなく、申告も不要です。
もし遺産総額が基礎控除額を超えてしまっても、「配偶者の税額軽減」や「小規模宅地等の特例」などを活用することで、納税額がゼロになる可能性は十分にあります。
ただし、これらの特例を利用して納税額がゼロになる場合には、必ず期限内に相続税の申告が必要になるという点を忘れないようにしましょう。
相続は専門的な知識が必要な場面も多いため、少しでも不安を感じたら、専門家に相談することも検討してみてください。


