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2025.12.08
法定後見制度とは?手続きの流れと詳細をわかりやすく解説
認知症や知的障がい、精神上の障がいなどによって、物事を判断する能力が十分でなくなってしまうことは、誰にでも起こりうることです。
もしそうなったとき、預貯金の管理や必要な契約を自分自身で行うのが難しくなり、悪質な詐欺の被害に遭ってしまうかもしれません。
そんな不安からご本人やご家族を守り、法的な側面から支えるための仕組みが「法定後見制度」です。
この制度を利用することで、本人の財産を守り、安心して生活を送るための手助けを得ることができます。
今回は、法定後見制度の基本的な仕組みについてご紹介します。
法定後見制度における3つの類型の違いは?
判断能力の程度により「後見」「保佐」「補助」に分かれる
法定後見制度は、ご本人の判断能力の程度に応じて、「後見(こうけん)」「保佐(ほさ)」「補助(ほじょ)」という3つの類型に分けられています。
どの類型に該当するかは、医師の診断書などをもとに、最終的に家庭裁判所が判断します。
・後見
精神上の障がいにより、判断能力が常に欠けている状態の方が対象です。
日常的な買い物を含め、ほとんどの法律行為を自分一人で行うことが難しい場合が想定されます。
・保佐
判断能力が「著しく」不十分な方が対象です。
日用品の購入程度なら一人でできますが、不動産の売買やお金の貸し借りといった重要な財産行為を自分だけで行うのは難しい、という状態です。
・補助
判断能力が不十分な方が対象です。
重要な財産行為も基本的には自分でできるかもしれませんが、一人で行うには不安があり、誰かの援助を受けた方が良いという状態です。
このように、ご本人の状態に合わせて、必要な支援のレベルが選択される仕組みになっています。
類型ごとに後見人の権限(代理権・同意権・取消権)が異なる
3つの類型では、本人を支援する人(成年後見人・保佐人・補助人)に与えられる権限が異なります。
主な権限は「代理権」「同意権」「取消権」の3つです。
・代理権
本人に代わって契約などの法律行為を行うことができる権利です。
・同意権
本人が特定の法律行為を行う際に、事前に同意を与える権利です。
・取消権
本人が同意を得ずに行った不利益な契約などを、後から取り消すことができる権利です。
これらの権限は、類型ごとに次のように定められています。
・後見(成年後見人)
財産に関する法律行為全般について、包括的な「代理権」と「取消権」が与えられます。
ただし、本人が行った日用品の購入など、日常生活に関する行為は取り消すことができません。
・保佐(保佐人)
借金や不動産の売買など、民法で定められた特定の重要な行為について「同意権」と「取消権」が与えられます。
これ以外の行為について「代理権」を持たせるには、別途家庭裁判所への申立てが必要です。
・補助(補助人)
申立ての範囲内で、家庭裁判所が定めた特定の法律行為についてのみ、「同意権・取消権」や「代理権」が与えられます。
補助の場合、これらの権限を与える審判には本人の同意が必要です。
申立てから開始までの流れと費用は?
家庭裁判所への申立てから審判を経て開始される
法定後見制度を利用するには、家庭裁判所への申立てが必要です。
手続きは一般的に以下の流れで進みます。
1.申立ての準備
本人、配偶者、四親等内の親族などが申立人となり、本人の住所地を管轄する家庭裁判所に申立てます。
申立書や本人の戸籍謄本、住民票、医師の診断書、財産に関する資料など、多くの書類が必要になります。
2.調査・審問
申立て後、家庭裁判所の調査官が申立人や後見人の候補者、場合によっては本人と面談し、申立ての経緯や本人の状況などを確認します。
3.鑑定
必要に応じて、本人の判断能力について医師による精神鑑定が行われることがあります。
4.審判
調査や鑑定の結果を踏まえ、家庭裁判所が後見等の開始を決定(審判)し、最も適任と思われる人物を成年後見人等として選任します。
選ばれた後見人等の情報や権限の内容は、法務局で登記されます。
申立てには手数料や診断書代、鑑定料などが必要
申立てには、いくつかの費用がかかります。
主なものは以下の通りです。
・申立手数料
収入印紙で800円
・登記手数料
収入印紙で2,600円
・連絡用の郵便切手代
3,000円~5,000円程度
・書類取得費用
戸籍謄本や住民票などの発行手数料
・診断書作成費用
5,000円~1万円程度が目安
・鑑定料
5万円~10万円程度(鑑定が必要と判断された場合のみ)
これらの費用は、基本的に申立人がいったん負担することになります。
後見人には月額2〜6万円程度の報酬が発生する
成年後見人等には、その仕事内容に応じて報酬が支払われます。
この報酬は本人の財産から支払われ、金額は家庭裁判所が決定します。
弁護士や司法書士などの専門家が後見人に選任された場合、管理する財産の額に応じて、月額2万円から6万円程度が報酬の目安とされています。
また、不動産の売却といった特別な業務を行った場合には、基本報酬とは別に付加報酬が認められることもあります。
親族が後見人になる場合は、無報酬とすることも可能です。
まとめ
法定後見制度は、判断能力が低下した方の財産や権利を守り、その人らしい生活を支えるための大切な制度です。
ご本人の状態に合わせて「後見」「保佐」「補助」の3つの類型があり、それぞれ支援者に与えられる権限が異なります。
利用するには家庭裁判所への申立てが必要で、手続きや後見人への報酬などに費用がかかります。
もしご家族の将来に不安を感じたり、制度についてもっと詳しく知りたいと思われたりした場合は、お近くの家庭裁判所や地域包括支援センター、弁護士や司法書士といった専門家に相談してみることをおすすめします。


